社内のDX推進担当になって奔走しているが、あらかじめ確認しておくこと(しておいたら良かったこと)を整理しておく。
経営陣のデジタル系リテラシーの確認
経営陣が現時点でどのくらいデジタル、あるいはデータ活用に対して理解があるか確認する。
特に注意すべき点は、デジタル化が「魔法のように課題を解決してくれるものである」と認識されていないかどうか。巷にあふれているのは成功事例ばかりなので、そうしたデータソースに経営陣が寄り過ぎていないか注意する。
この認識をさらに分類すると、次の通りになる。
- DXは金がかかるという認識
- DXは受け手(実践する人・組織)のスキルアップも必要であるという認識
- DXは成果が出るのに時間がかかるという認識
- ある程度知識が備わった人材が社内に必要という認識
DXは金がかかるという認識
新たなツールを使用するにせよ、コンサルを入れるにせよまとまった金が必要。それをしっかり伝えていく必要がある。
ダッシュボードのようなものを導入するにせよ、サブスク形式で安くても月数万円程度の支出が必要になる。もちろんそれを使いこなせるかどうかは現場による。
コンサルは業種にマッチした人をどれだけ正確に見つけ出せるかが課題になる印象。物流DXコンサルを活かし切るには、やはり物流業務がぴったり。また、ちょっと手を入れて成果が出るというものでもない。
DXは受け手(実践する人・組織)のスキルアップも必要であるという認識
DXは最終的に現場がDXを実践して自力で業務改善をしていくようにするのが目的となる。
そのためには、それを現場で使いこなすための体制を整えることが必要。特に現場が自ら「使いこなしていく」という意識になれるかが非常に難しいところ。そのためには各部署から業務に精通したスタッフを仲間に引き入れるなどの作成も必要になる。
また、ツールの習熟度UPや基礎統計学などの数値を理論的に読み解いていくことができるかも重要なポイントになる。人への投資が行える環境にあるか、上長がそれを許容できるかが中長期的な成長に必要な要素になる。
DXは成果が出るのに時間がかかるという認識
1ヶ月で成果が出る、というものではない。現場の課題抽出から丁寧にはじめて、デジタルでの改善実装、現場へのレクチャーなど様々な工程が必要になってくる以上、時間がしっかりかかる。じっくり待ってもらえるためには、工程の複雑さなどもしっかり伝えておく。
また、現場は通常の業務もまわしつつDXする、といった体制になることがほとんど。DXに落とし込んでいく際に、細かい所までつっこみすぎないが、成果は出せるように管理していくというバランス感覚が必要になる。
IT系の部署はそれ以外の部署からの風当たりが強い、といったこともあるかと思う。そのあたりは課題解決というテーマの前では対等の立場であるということを丁寧に伝え続けていく必要がある。
ある程度知識が備わった人材が社内に必要という認識
DXを進行していくために、やはりある程度は素養のある人間が自発的に進めていける(権威づけられる)体制が望ましい。そうしたスタッフに対して、社長などから社内で優先度を高めて接してもらえるようにアナウンスしてもらうことが必要になる。これで非協力的・無関心なスタッフもある程度は協力してもらえる形になる。
反抗的なスタッフについては決済者の権威で押し切るといった形になってしまっているが、このあたりは対応を考えていきたい課題になっている。ただ反抗がある=課題意識の裏返しというケースも往々にあるので注意深く聞き取ること。
往々にしてDXは社内のこれまでのプロセスを変更することを強いていく部分もあるので、嫌われたりする部分も多いと思う。また、机上でデータを見ている「だけ」のようにとられているケースもある(そこに至るまでたいへんな勉強が必要なわけであるが)。
そうした課題をクリアしていくためには担当者が1名という形では心もとない。知識がある人間が2人以上、あるいは部署を横断した複合的なチームで進めていくことが望ましい。