「統計学は最強の学問である[ビジネス編]」を読む。出だしから印象深い切り出しで、良書の予感。
アカデミックな著者なので、非常に分かりやすく、同意しやすい。
ビジネスの幹とリサーチデザイン
データ分析の価値は細かい施策(クーポンの配布対象とか、割引額とか)への活用を超えて適用させることができる。データ分析を真に活用すべきは、ビジネスの「幹」にあたる部分である。そのほうがインパクトも大きい。
そのためには「リサーチデザイン」のスキルが必要。それがないと、一般人でも考えうる仮説の提示や巷の成功事例を集めて実施するといった小手先の施策に終始するだけで終わる。
リサーチデザインとは、研究者がどのように良い研究課題を考え、またその課題に対してどのような調査や分析を行うべきかを考えることである。
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先行研究の把握をもとに、課題に対してより効果的なアプローチをとることが重要。大学で習ったな…。
この書籍の扱うターゲット
- 経営戦略(競争戦略と企業戦略→この本では特に競争戦略)
- 人的資源管理(人材マネジメント)
- マーケティング
- オペレーション
現場のどんな改善を行うにしろ、全社的なレベルの方向性が定まっていない場合にはミスマッチが多発する。分かる。そのため、まずは企業の収益性をアップさせるための経営戦略について理論的な系譜について学ぶことが必要。
その上で、リソースや顧客の分析方法を学び、具体的なオペレーションに落とし込んでいく。
最重要概念「アウトカム」
最大化あるいは最小化したい「値」のこと。いわゆる従属変数。最終的に実現したいことは何かを考えないと出てこない。
アウトカムが定まらないと、少額の改善しか見込めないものにコストを割いたりしてリソースの無駄になる。多くの改善施策が失敗した理由は、アウトカムの設定が誤っているケースが多い。
具体的には単発の売上よりも、LTVを最大化させる、さらに粗利を最大化させるにはどうしたら良いかを対象にするのが良い。
うーん、常々感じていることだがなかなか実行に移せないので雛形があると助かる。